文献調査実施細則

(総則)

第1条
原子力発電環境整備機構(以下「機構」という。)業務方法書第35条に基づき、文献調査実施細則を定める。

(用語)

第2条
この実施細則で使用する用語は、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(平成十二年法律第百十七号。以下「法」という。)、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律施行令(平成十二年政令第四百六十二号)、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律施行規則(平成十二年通商産業省令第百五十一号。以下「施行規則」という。)及び特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針(令和5年4月28日閣議決定。以下「基本方針」という。)で使用する用語の例による。

(概要調査地区の選定)

第3条
機構は、概要調査地区を選定しようとするときは、国の最終処分計画及び機構の承認実施計画に従い、法及び施行規則に定められた次に掲げる事項について、あらかじめ、文献その他の資料による調査(以下「文献調査」という。)を行うものとする。
  1. 一 概要調査地区として選定しようとする地区及びその周辺の地域において過去に発生した地震等の自然現象に関する事項
  2. 二 前号の地区及び地域内に活断層があるときは、その概要に関する事項
  3. 三 第一号の地区に第四紀の未固結堆積物があるときは、その存在状況の概要に関する事項
  4. 四 第一号の地区に鉱物資源があるときは、その存在状況の概要に関する事項
2
機構は、文献調査の結果に基づき、法及び施行規則の定めに従い、当該文献調査の対象となった地区(以下「文献調査対象地区」という。)のうち次の各号のいずれにも適合していると認めるものの中から概要調査地区を選定するものとする。
  1. 一 当該文献調査対象地区において、地震等の自然現象による地層の著しい変動の記録がないこと。
  2. 二 当該文献調査対象地区において、将来にわたって、地震等の自然現象による地層の著しい変動が生ずるおそれが少ないと見込まれること。
  3. 三 当該概要調査地区として選定しようとする地区内の最終処分を行おうとする地層が、第四紀の未固結堆積物であるとの記録がないこと。
  4. 四 前号の地層において、その掘採が経済的に価値が高い鉱物資源の存在に関する記録がないこと。
3
機構は、文献調査の実施に当たっては、資源エネルギー庁により取りまとめられた「文献調査段階の評価の考え方」(令和5年11月)を踏まえるものとする。

(文献調査への応募の受付)

第4条
機構は、市町村長から文献調査への応募を受け付ける。
2
前項の規定により文献調査への応募を行う市町村長には、次に掲げる事項を記載した書面(以下「応募書」という。)の提出を求めるものとする。この場合において、応募する地区が複数の市町村にまたがる場合は、該当する市町村長の連名による応募とする。
  1. 一 当該市町村名
  2. 二 当該市町村長名及び公印
  3. 三 当該文献調査に応募する地区の所在地
  4. 四 連絡先
3
機構は、応募書の提出があったときは、当該応募書に記載された地区(以下「応募地区」という。)を対象とする文献調査の実施見込みについて、科学的特性マップに用いられた文献・データの最新版、科学的特性マップにおける応募地区の特性区分などを参照して確認する。
4
機構は、前項の確認の結果、応募地区を対象とする文献調査の実施見込みが確認できない場合を除き、第6条第1項に基づく手続を実施するものとする。

(国から市町村長への申し入れ)

第5条
前条第3項の規定は、国が市町村長に文献調査の実施を申し入れようとするに際し、国から調査の実施見込みの確認について依頼を受けた場合に準用する。この場合において、同項中、「応募した地区」とあるのは「確認する地区」と読み替える(以下、読み替えた地区を「確認地区」という。)。
2
機構は、前項の依頼に基づき調査の実施見込みがあることが確認された地区であって、確認地区を管轄する市町村長が申し入れに受諾した旨の通知を国から受領したときは、次条第1項に基づく手続を実施するものとする。

(文献調査の実施)

第6条
機構は、文献調査を実施しようとするときは、当該文献調査を開始する年度の事業計画に次に掲げる事項を記載し、法第64条に基づき、経済産業大臣の認可を受けるものとする。
  1. 一 文献調査への応募及び申入れの受諾の状況に関する事項
  2. 二 文献調査、相互理解促進活動及び情報提供の実施に関する事項
  3. 三 前号の実施体制に関する事項
2
機構は、前項の認可を受けようとするときは、あらかじめ、文献調査を実施しようとする地区ごとに文献調査計画を作成し、次に掲げる事項を記載するものとする。
  1. 一 所在地
  2. 二 概況
  3. 三 文献調査の項目、手法及び進め方
  4. 四 当該市町村及び関係住民(以下「地域の皆さま」という。)との相互理解促進活動及び情報提供の方法等
3
機構は、第1項の認可を得たときは、前項の文献調査計画に基づき文献調査を実施する。

(地域の皆さまの理解の増進のための施策)

第7条
機構は、基本方針第3に記載された「概要調査地区等の選定においては、関係住民の理解と協力を得ることが極めて重要であり、そのためには、相互理解促進活動や情報公開を徹底し透明性を確保することが必要である。」という方針に基づき、次に掲げる事項に取り組むものとする。
  1. 一 地域の皆さまへ文献調査計画の説明やその他の文献調査の実施に関する情報、最終処分に関する技術的情報等を含め、特定放射性廃棄物の最終処分に関する情報を積極的に提供する。
  2. 二 相互理解促進活動や情報提供を行うに当たっては、生活様式や居住環境が地域や人によって異なることを踏まえ、説明会の開催、図書館や公的集会所への資料の陳列、広報紙や広告等への掲載やインターネットの活用等、情報へのアクセス手段を多様化し、より多くの人々が必要な情報を入手できるようにすることに努める。
  3. 三 求められる情報の提供に誠実に対応するとともに、情報が正確であるだけではなく、情報を受け取る側にとってわかりやすいものとすることに努める。
  4. 四 地域の皆さまの関心に十分に配慮し、調査の内容や進捗について定期的に報告を行う等、相互理解促進活動を継続的に行う。
  5. 五 地域の皆さまに対し、多様な関係住民が参画し、最終処分事業について、情報を継続的に共有し、対話を行う場(以下「対話の場」という。)の有用性や活動内容の可能性を具体的に示す等により、対話の場が円滑に設置され、積極的な活動が行われるようにする。
  6. 六 前号に定める対話の場の設置及び運営に際しては、地域の皆さまと十分に相談し、その意向を尊重する。
  7. 七 専門家等からの多様な意見や情報の提供の確保を含め、対話の場での活動を継続的かつ適切に支援する。

(文献調査報告書の作成)

第8条
機構は、第3条各項の規定により行った文献調査の結果に関し、次に掲げる事項を記載した報告書(以下「報告書」という。)を作成するものとする。
  1. 一 機構の名称及び住所
  2. 二 当該文献調査対象地区の所在地
  3. 三 当該文献調査対象地区の概況
  4. 四 当該文献調査の項目、手法及び結果
  5. 五 当該文献調査対象地区の評価及びその理由
  6. 六 当該文献調査の全部又は一部を他の者に委託して行った場合には、その者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあってはその代表者の氏名

(報告書の送付)

第9条
機構は、報告書を作成したときは、当該文献調査対象地区の所在地の属する都道府県(以下「関係都道府県」という。)を管轄する知事(以下「関係都道府県知事」という。)及び当該文献調査対象地区の所在地の属する市町村(以下「関係市町村」という。)を管轄する市町村長(以下「関係市町村長」という。)に対し、報告書及びこれを要約した書類(以下「要約書」という。)を送付するものとする。

(報告書についての公告及び縦覧)

第10条
機構は、報告書を作成したときは、報告書を作成した旨及び次に掲げる事項を公告し、関係都道府県内において、報告書及び要約書を公告の日から起算して30日以上の相当の期間を定めて縦覧に供するものとする。
  1. 一 機構の名称及び住所
  2. 二 当該文献調査対象地区の所在地
  3. 三 報告書の縦覧の場所、期間及び時間
  4. 四 報告書の内容について意見を書面により提出することができる旨
  5. 五 第13条の意見書の提出期限及び提出先その他意見書の提出に必要な事項
2
前項の規定による公告は、次に掲げる方法のうち適切な方法により行うものとする。
  1. 一 官報への掲載
  2. 二 関係都道府県の協力を得て、関係都道府県の公報又は広報紙に掲載すること。
  3. 三 関係市町村の協力を得て、関係市町村の公報又は広報紙に掲載すること。
  4. 四 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙への掲載
3
第1項の規定により報告書を縦覧に供する場所は、次に掲げる場所のうちから、できる限り縦覧する者の参集の便を考慮して定めるものとする。
  1. 一 機構の事務所
  2. 二 関係都道府県の協力が得られた場合にあっては、関係都道府県の庁舎その他の関係都道府県の施設
  3. 三 関係市町村の協力が得られた場合にあっては、関係市町村の庁舎その他の関係市町村の施設
  4. 四 前三号に掲げるもののほか、機構が利用できる適切な施設
4
報告書の公表は、前項の場所において行うとともに、次に掲げるインターネットを活用した公表方法のうち実施が可能な方法により行うものとする。
  1. 一 機構のウェブサイトへ掲載すること
  2. 二 当該都道府県の協力を得て、当該都道府県のウェブサイト等に掲載すること
  3. 三 当該市町村の協力を得て、当該市町村のウェブサイト等に掲載すること
5
前項に規定する方法による公表は、報告書の内容を周知するために相当な期間行うものとする。

(地域の皆さまへの報告書の説明)

第11条
機構は、報告書を作成したときは、対話の場において、報告書の記載事項を周知するための説明を行うものとする。

(説明会の開催等)

第12条
機構は、第10条第1項の縦覧期間内に、関係都道府県内において、報告書の記載事項を周知するための説明会を開催するものとする。
2
機構は、説明会を開催するときは、できる限り説明会に参加する者の参集の便を考慮して、その開催を予定する日時及び場所を定め、これらを説明会の開催を予定する日の1週間前までに公告するものとする。
3
機構は、説明会の開催を予定する日時及び場所を定めようとするときは、必要に応じて、関係都道府県知事及び関係市町村長の意見を聴くものとする。
4
機構は、その責めに帰することができない事由であって次に掲げるものにより、第2項の規定による公告をした説明会を開催することができない場合には、第10条第1項の縦覧期間内に、次項に規定する方法により、報告書の記載事項を周知させるように努めるものとする。
  1. 一 天災、交通の途絶その他の不測の事態により説明会の開催が不可能であること。
  2. 二 機構以外の者により説明会の開催が故意に阻害されることによって説明会を円滑に開催できないことが明らかであること。
5
前項の規定による報告書の記載事項の周知は、次に掲げる方法のうち適切な方法により行うものとする。
  1. 一 要約書を求めに応じて提供することを周知した後、要約書を求めに応じて提供すること。
  2. 二 報告書の概要を公告すること。
  3. 三 前二号に掲げるもののほか、報告書の記載事項を周知させるための適切な方法
6
第10条第2項の規定は、第2項及び前項第二号の規定による公告について準用する。

(報告書についての意見書の受理)

第13条
機構は、第10条第1項の公告の日から、同項の縦覧期間満了の日の翌日から起算して2週間を経過する日までの間に、報告書の内容について意見を有する者から、これを述べるための意見書を受理するものとする。
2
前項の意見書には、次に掲げる事項を記載するものとする。
  1. 一 意見書を提出しようとする者の氏名又は名称及び住所並びに法人その他の団体にあってはその代表者の氏名
  2. 二 意見書の提出の対象である報告書の名称
  3. 三 報告書の内容についての意見
3
前項第三号の意見は、日本語により、意見の理由を含めて記載するものとする。

(報告書についての意見の概要等の送付)

第14条
機構は、前条第1項の期間を経過した後、関係都道府県知事及び関係市町村長に対し、同項の規定により述べられた意見の概要及び当該意見についての機構の見解を記載した書類を送付するものとする。

(報告書についての意見)

第15条
機構は、第13条第1項の意見が述べられたときはこれに配意して、概要調査地区を選定するものとする。

(承認実施計画の変更)

第16条
機構は、第3条第2項及び前条の規定により概要調査地区を選定したときは、法第5条第1項後段の規定により、その承認実施計画に係る概要調査地区等の選定及び最終処分施設の設置に関する事項の変更について経済産業大臣の承認を申請するものとする。

(細則)

第17条
機構は、この細則に定めるもののほか、文献調査の実施に関し必要な事項を定めることができる。
附 則
この業務実施要領は、令和二年十一月十六日から施行する。
附 則
この業務実施要領は、令和三年二月二日から施行する。
附 則
この業務実施要領は、令和三年九月二十八日から施行する。
附 則
(施行)
第一条 この細則は、告示の日から施行する。