実施日時 | 2014年3月7日(金) |
実施場所 | 北海道札幌市内中学校 |
対象 | 中学1年生 |
当日の様子
2014年3月に札幌市内の中学校で実践された理科の「地層からわかる大地の変化~積丹半島の地下構造~」という授業について、3月9日のエネルギー環境教育教職員セミナー全国大会にて事例発表が行われました。発表は模擬授業形式で行われ、全国から集った中学校、高等学校教職員に向けて行われました。本授業は「活きている地球」という全16時間の単元学習の中の12時間目という位置づけで、計画では、本時までに火山や岩石、化石や地層について学習してきている生徒が対象の授業です。
最初に積丹半島の写真を見て、「積丹半島はどうやってできたのだろうか」と発問をし、前時で柱状図から地層の状態を推測したことを思い出しながら、予想を立てさせました。
次に、歯科印象材で作った地層モデルを、掘削機器内のパイプに見立てた透明なストローで抜き取って、ボーリング調査のモデル実験をしました。二方向に抜き取る方向を変えて、班ごとに層がどうなっているのか、柱状図をワークシートにスケッチしました。
しゅう曲が起こってできた地層だということが分かったところで、どのように大地に力が加わることでしゅう曲が起こるのかということを、ウレタンでできた地層のモデルを用い説明を加えました。その後、スケッチしたワークシートをもとに、地層モデルのボーリング調査結果と考察を班ごとに発表しました。
最後に、積丹半島の端に位置する泊原子力発電所の地下の構造について、資料を示しながら授業をまとめて終わりました。
全国の教職員対象に模擬授業形式で行った
北海道大学エネルギー教育研究会 森山氏
単元計画
教科 | 理科 |
学習のねらい |
(1) 地層のモデル実験を行う際に、目的意識をもって学習に取り組むことができる。 (2) 地層モデル実験の結果から、積丹半島の地下構造を推測することができる。 |
単元計画 |
1章 大地が火をふく
1 火山の形はどうして違うのか 2時間 3章 大地は語る
1 化石から学ぼう 1時間 2章 大地がゆれる
1 地震はどのように大地に伝わるか 3時間 |
指導案
地層からわかる大地の変化~積丹半島の地下構造~
習得すべき基礎・基本 | 生徒の活動 | 教師の関わり | 内容の説明 | |
5 分 |
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15 分 |
【学習課題】 積丹半島はどうやってできたのだろうか。 |
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20 分 |
知識を活用して結論を導く力 |
【課題解決の姿】モデル実験の結果から、積丹半島は地層がしゅう曲することによってできた土地であることを理解することができる。 |
◎ 生徒が観察から得られた結果と過去の学びを関連付けて思考することができているか、学習シートや交流の様子から評価する。 |
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10 分 |
他者との交流を通じて結論を導き出す力 |
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授業についての補足事項
歯科印象材でのしゅう曲モデルの作り方
従来のモデル作りに使われる寒天は固まるまでに数時間かかりますが、歯科印象材は次の層の分を混ぜている数分の間に固まるので、時間もかからず作りやすいです。
お菓子作りの容器に、水彩絵の具を溶かした水で溶いた歯科印象材を入れます。色を変えて何回か繰り返します。
固まった層は一枚ずつはがれるので、固定して、端を切りそろえて、形を整えます。
固まって層になったものを取り出し、ひっくり返して曲げ、やや小さめの容器に入れます。できたくぼみに歯科印象材を流し込みます。固まると、しゅう曲モデルになります。
このままだと見た目でしゅう曲であると分かってしまうので、上の山の部分を削って、凹凸が見えないように土に見立てた層で埋めます。
北海道大学エネルギー教育研究会からのコメント
これまでの授業計画や実践は直接的に地層処分を扱っていました。この授業については普通の理科の地層の授業だと思われると思います。
この実践では、どうしたら学校現場に取り入れられるかを考えています。地層の授業をやって最後に地層処分へのつなぎを作ることによって、地層処分を考える素地を作っています。知るべきことを知らずに考えることはできないからです。