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地層処分の長期安全性は、数万年以上の長期間と大きな広がりを持つ岩盤を対象とすることから、実証実験などによって安全性を直接確認することができません。そのため、設計した処分場の将来を正確に言い当てることはできず、安全性を評価する際には、現状においては、例えば、放射性物質が直ちに地下水に溶け出すという厳しい条件をあえて想定し、それでも長期にわたり人間に有意な影響を与えないと言えるかを確認します。この方法は、国際機関や諸外国において多くの議論が行われた結果、国際的に確立しているものです。
地層処分相当低レベル放射性廃棄物(TRU廃棄物)の安全性のレベルは、国際的に確立した方法に基づき、例えば、地下水で放射性物質が運ばれた場合の影響を評価したケース(あえて厳しい結果が出る条件)において、最大で年間0.002mSv(ミリシーベルト)程度と評価しています。この結果は、日常生活において通常受けている自然界からの放射線である年間2.4mSvに比べて十分に低い数値であり、また、国際機関や諸外国で提案されている安全基準である年間0.1~0.3mSvに比べても十分低いものとなっています。
なお、このケースでは、地層処分場の閉鎖後直ちに坑道内が水で満たされ、廃棄体から放射性物質が漏えいして人工バリア内に広がること、人工バリアから地表に通じる地下水の速い上向きの流れがあることなどを仮定しています。そのため、計算上は非常に早い時期(閉鎖後10年程度)から極めて微量の放射線がグラフ上に現れますが、このような条件を想定しても最大値は上記のとおり、年間0.002mSv程度となります。
これは、シミュレーション結果がそのまま実際に起こることを意味するものではありません。実際には、より好ましい条件を有する場所を注意深く選定する、十分余裕のある設計を行うなどの対策により、安全な地層処分を実施してまいります。<関連リンク>