Vol.10 2024.12

現場最前線 FRONTLINE 技術部の職員が
取り組みを紹介

古崎 敦也

技術部
地質環境調査グループ

古崎 敦也

技術コミュニケーションの
改善地層処分の安全性を
正確に伝えるために

私は、地層処分の技術的な内容をステークホルダーに正しく伝えるため、技術コミュニケーションの改善に取り組んでいます。
専門家が使う用語は、その言葉自体が難しいものに加えて、言葉を組み合わせた場合にその分野独自の意味を持つものがあります。そのため、専門家同士でも、相手が一般的なイメージや異なる分野での使い方から用語の意味を類推した場合、議論のすれ違いや理解・認識のギャップが生じることがあります。例えば、「安定している地質環境」という用語は、地層処分の分野では「高レベル放射性廃棄物の長期的な閉じ込めと隔離に適している地質環境」を指し、性質や時間的・空間的な範囲を限定しています。しかし、一般になじみのある単語の組み合わせであるため、異なる意味を類推される可能性があるのです。

※図はタップで拡大できます。 地温が低い、水質が高pHでも低pHでもない、地下水の動きが緩慢といった場所を選ぶ 岩盤の性質 変形しにくい岩盤 地下水の動き 緩やかな地下水の流れ 温度 低い地温 地下水の水質 高pHでも低pHでもない

地層処分における「安定している地質環境」の含意する地質状態の一例

そこで、技術コミュニケーション改善の一歩として、日本原子力学会の特別専門委員会において、ギャップの原因と解消方法を検討いただきました。同委員会からは、相手の文脈が異なることを尊重し、地層処分の文脈を十分に説明することの重要性が提案されました。また、ステークホルダーとの相互理解の鍵となる4つの用語について、背景情報も含めて解説した「語彙基盤(地層処分の言葉)」を公表しました。
これからも、地層処分の安全性をステークホルダーに正しく理解していただけるよう、技術コミュニケーションの改善に取り組んでまいります。

[もっと詳しく!]原子力学会Webサイトで
公開しています(PDF)

語彙基盤(地層処分の言葉)

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語彙基盤(地層処分の言葉)を用いた
安全コミュニケーションの提案

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