広報部職員が自身の経験を交えて講演
9月18日~19日、昨年度に引き続き、NUMO主催によるナチュラルアナログ研究ワークショップを北海道大学で行いました。
複数の大学や研究機関、民間企業のほか、フィンランド、イギリス、フランス、スイス、台湾など、海外の実施主体を含む、約60名にご参加いただき、「地層処分システムによる安全確保の仕組みや安全評価の結果などを、一般の方々にわかりやすく伝えるために、ナチュラルアナログ事例をどのように活用できるか」などをテーマに、講演やグループディスカッションが行われました。
ナチュラルアナログ研究とは、地下深くでは地下水が流れにくいことや、鉄などの材料がさびにくいことを示す天然で見つかる実例を対象に、地層処分システムの長期的な安全性を裏付ける天然現象を研究するものです。
数万年先の安全性が求められる高レベル放射性廃棄物の地層処分において、地層処分の安全確保の仕組みなどの説明にナチュラルアナログが有効とされています。
NUMO広報部の担当職員が「対話・広報活動におけるナチュラルアナログ事例の活用経験」について講演。対話型全国説明会などを通じて3,000人以上と対話を行ってきた自身の経験をもとに、対話活動においてナチュラルアナログ事例を用いる際に工夫している点や、苦労している点などを紹介しました。
具体的には、「地質学に関する知識や考古学に関する知識などがないと分かりにくい事例が多く、背景情報から説明を始める必要があるため、短時間での説明が求められるような対話の場面では活用しづらい」などの課題点を挙げ、ナチュラルアナログ事例における第一線の研究者の方々と、より分かりやすい説明を行うために何ができるかについて意見交換しました。
この他にも、グループディスカッションでは、アナログ事例のデータベース化の仕方、アナログ事例を活用した地層処分システムの安全性を検証する方法、コミュニケーションでの活用方法について話し合われました。
ナチュラルアナログの活用方法などについてグループディスカッション
ワークショップ対面参加者一同(会場となった北海道大学にて)
技術部 工学技術グループ
藤田 和果奈
ナチュラルアナログが地層処分において果たす役割は多面的で奥深く、今年のワークショップではどのような議論ができるのか、楽しみにしながら運営に携わりました。2年連続で開催したことで昨年度よりも一歩踏み込んだ議論ができ、今後のプロジェクトへのたくさんのヒントを参加者からいただくことができました。例えば、「既存のアナログ研究の情報を、室内試験などの関連する情報と体系的に整理してほしい」というニーズが研究者の間で共通してあることを確認できました。今後も、地層処分への理解の入り口としてナチュラルアナログを活用していけるよう機構内外で取り組んでまいります。