技術部 性能評価技術グループ
松原 竜太
私は地層処分場を埋め戻した後の安全性を評価するため、ガラス固化体が持つ放射性物質の閉じ込め性能について技術開発を行っています。
ガラス固化体は放射性物質をガラスと一緒に固めたもので、水に溶けにくい性質を持っています。地層処分ではこの性質も利用して安全性を確保しますが、数万年以上の長い期間を評価対象とするため、地下水が接触した場合を想定して、ガラス固化体が放射性物質をどのくらい長く閉じ込めておけるかを評価することが重要です。
ガラスの閉じ込め性能はガラス成分が溶け出す速度として表すことができ、その速度に影響する要因の一つが、ガラス成分の溶け出しとともにガラス表面に形成される「変質層」【図1】です。これはガラス成分が溶け出すことを遅らせる保護膜のように働きます。しかし、変質層が保護膜として機能する条件(地下水の組成など)について明らかになっていないため、現在はこの機能をあえて見込まずに溶け出す速度を評価しています。
【図1】
そこで、NUMOは大学や研究機関と共同研究し、地下の環境を再現した溶液中にガラスを沈めて、変質層がどのようにできるのか等を調べています【図2】。得られた成果をもとに、ガラス固化体が持つ本来の閉じ込め性能としての保護膜による効果を見込むことで、現実的な評価ができると期待しています。