技術部
性能評価技術グループ
田窪 勇作
私は、地下環境における人工バリアの材料の状態を長期にわたり予測し、処分場の安全性が遠い将来まで維持できるか評価するためのコンピュータシミュレーション技術の開発に携わっています。
処分場閉鎖後の地下環境は、①ガラス固化体からの発熱による温度の変化、②地下水の侵入による水分量の変化、③坑道(地下などに設けられた通路)周りの圧力の変化、④地下水と人工バリアの材料との間で起こる化学的な変化、の4つの変化がお互いに影響を及ぼし合うことで、時間とともに変わっていきます【図1】。
処分場閉鎖後、人工バリアに生じる
熱-水-応力-化学の複合的な現象
人工バリアの材料に期待する機能(例えば緩衝材は、水を通しにくい機能や隙間ができないように膨らむ機能)を発揮するように設計するためには、このような4つの変化の様子をより現実的に捉えていくことが必要です。これまで、それぞれ個別の評価はできていたものの、複数の現象の影響が合わさったときの評価については課題となっていました。そのため現在、人工バリアの材料がどのように変化するかについて、実現象に基づいて予測するため、国内外の専門家とともに、スイスの地下研究施設で実施している国際共同研究の試験データを用いて【図2】、複数の現象の影響を同時に評価できるようにコンピュータシミュレーション技術の高度化を進めています。
スイスの地下研究所で実施している国際共同研究による実規模試験