事業計画
通商産業大臣が定めた「特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針」及び「特定放射性廃棄物の最終処分に関する計画」に基づいて、平成12事業年度における原子力発電環境整備機構の事業計画を次のとおり定める。
I 概要調査地区等の選定に係わる事項
1.既存情報の収集・整理
特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(平成12年法律第117号。以下「法」という。)第6条第1項に規定される文献調査の準備として、地震等の自然現象や地質条件等に関する既存情報の収集・整理を行う。
- (1) 既存資料の収集
全国を対象として、活断層、火山、隆起、地下資源などに関する文献や、地質図などの資料を収集する。
- (2) 収集資料のデータベース化(I)
収集した資料のうち、概要調査地区選定の概略検討に必要なデータについてデータベース化を図る。
- (3) 収集資料のデータベース化(II)
概要調査地区選定のより詳細な精度での検討に必要となるデータについてデータベース化を図る。
2.文献調査事項及び概要調査地区選定要件の細目の検討に必要な調査
法第6条第1項各号に掲げる文献調査事項及び法第6条第2項各号に掲げる概要調査地区選定要件に関し、その細目の検討に必要な調査を行う。
- (1) 国内外の選定要件等の調査・整理
国内外における選定要件等の内容及びその背景となる考え方について調査・整理を行う。
- (2) 各項目内容の具体化、評価基準設定の考え方の検討
選定要件等の細目を設定するに当たり、活断層帯、火山活動域未固結層、地下資源など関連すると考えられる項目の内容について具体化を図る。また、各項目に対する評価基準の設定の考え方について検討する。
- (3) 選定要件等の細目の検討
上記(1)及び(2)に基づき、選定要件等の細目について検討するとともに、諸外国との比較・検討を行う。
II 拠出金の徴収に関する事項
法第11条の規定により、発電用原子炉設置者から拠出金を徴収する。
III 委託を受けて行う業務に関する事項
地質環境調査技術に係る信頼性向上のための開発を、国からの委託を受けて行う。
IV 特定放射性廃棄物の最終処分に関する国民の理解の増進
最終処分事業の理解に向けて、国民全体を対象に特定放射性廃棄物の地層処分に関する事項について、マスメディア等を活用し情報提供する。
V 特定放射性廃棄物の地層処分に関する技術開発
1.技術開発計画の検討等
機構の技術開発計画を検討するとともに、機構における技術情報の整理の体系の基本的考え方を構築する。
- (1) 技術優先課題の抽出・整理
国内外における主要研究成果を調査し、技術的な達成度等を整理・分類した上で、優先的に解決すべき課題を専門的観点から抽出・整理するとともに、課題の解決方策について検討する。
- (2) 情報システムが保持すべき要件の調査・検討
国内外における処分関連事業を対象にして、収集した情報やデータ等の信頼性確保や評価結果のトレーサビリティが確保できる情報システムが保持すべき要件などの検討を行う。
2.調査・評価のための技術開発
将来の文献調査の実施・結果の評価に向けて、地質環境に係る調査・評価技術の開発を行う。
- (1) 断層に関する検討
将来の断層の新生の可能性、既存情報に基づく伏在断層の評価方法等について検討する。
- (2) 火山に関する検討
我が国の単成火山群の活動時期の変還を調査し、単成火山を含む火山の活動等について検討する。
- (3) 隆起に関する検討
内陸部の隆起量の評価方法を検討し、我が国の隆起特性を評価する。
- (4) その他の地質環境に関する検討
文献調査から対象地域の地下深部の岩体規模を評価する方法等、各種地質環境の調査・評価技術の検討を行う。
VI 特定放射性廃棄物の地層処分に関する技術開発
最終処分事業の円滑な実施に向け、国外の処分事業実施主体等と連携を深めるとともに、国内関係機関等との協力関係を構築する。
(注)[ ]内は補足説明