2019(平成31)事業年度 事業計画

事業計画

 「特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針(平成27年5月閣議決定)」(以下、「基本方針」という。)、「特定放射性廃棄物の最終処分に関する計画(平成20年3月閣議決定)」(以下、「処分計画」という。)及び原子力発電環境整備機構(以下、「機構」という。)の「特定放射性廃棄物の最終処分の実施に関する計画(平成20年4月策定)」(以下、「実施計画」という。)を基に、機構の「中期事業目標」の実現を目指し、2019(平成31)事業年度における機構の事業計画(以下、「本計画」という。)を以下のとおり定める。

 なお、今後「処分計画」が改定された際には、機構の「実施計画」を変更するとともに、本計画についても見直しを行う。

【機構を取り巻く状況】

1.科学的特性マップの公表等に係る状況

 2017年7月の「科学的特性マップ」(以下、「マップ」という。)の公表を受け、国と機構は、「自治体向け説明会」及び「対話型全国説明会」等を全国の主要都市で実施している。引き続き、安全な地層処分が成立すると確認できる可能性が相対的に高く、輸送面でも好ましい「グリーン沿岸部」地域を中心に、地域特性を踏まえた一層きめ細かな対話活動を展開することが求められている。

2.国等の状況

 2018年7月に閣議決定された「第5次エネルギー基本計画」においては、「高レベル放射性廃棄物の最終処分に向けた取組の抜本強化」により、複数の地域による処分地選定調査の受け入れを目指す方針が示された。その中で「国民の関心を踏まえた多様な対話活動の推進等の取組を一層強化する」「技術的信頼性に関する専門的な評価が国民に十分には共有されていない状況を解消していくことが重要である」など対話活動を強化することの重要性と、「研究成果・人材の継承・発展に取り組む」「国内外に研究基盤の相互活用を推進するなど国際協力を進める」など研究開発体制の強化の方向性が示された。

【2018年度の機構の事業活動】

1.対話活動の多様な展開

 2017年7月のマップの公表を受け、国と機構は「対話型全国説明会」(以下、「説明会」という。)を継続的に実施している。

 2018年5月から実施した説明会では、主にマップの位置づけや要件・基準、文献調査の進め方等について丁寧に説明し、関心の喚起と理解の浸透に努めた。

 その後、国による「自治体向け説明会」に説明者として参加するとともに、10月からはマップにおける「グリーン沿岸部」地域を中心に説明会を開催し、マップの位置づけ等に加えて「対話の場」の設置や事業が地域に及ぼす経済的影響等についても説明を行っている。

 説明会の実施に際しては、公正性を確保して運営することを大切にし、「手作り・直営」を基本としつつ、「科学的特性マップに関する意見交換会」の参加者募集に関する不適切事案の反省に立って定めた「対話活動改革アクションプラン」に基づき、参加者の目線に立った工夫(開催日時の多様化、テーマを設定したグループ質疑、ヴァーチャルリアリティコーナーの設置等)を取り入れた。また、事前にいただいた質問や地域の地質特性に応じて説明内容を工夫し、地域社会の関心にお応えできるように努めた。更に、説明会に来場できなかった方々向けのインターネットライブ配信も試行した。

 各地での説明会の開催にあたっては、新聞広告、交通機関での広告、Web広告等を通じて地域社会へ幅広い情報発信・告知を行ってきた。こうした告知広告についても「手作り・直営」を基本とし、適正な要員配置や他部門からの応援等、業務実施体制を見直すなど適正な取組みに努めた。更に、開催地域の自治体をはじめ新聞社や経済団体等を事前事後に訪問し、説明会の趣旨や開催の模様をお伝えした。

 その他、次世代層を含む幅広い層に対して機構事業に関する情報発信を行うことの重要性を踏まえて、全国各地における人の集まる公共スペース等への地層処分模型展示車の巡回、Webメディアを活用した広報、教育関係者ワークショップの支援、大学等への出前授業等を展開し、地層処分の重要性やリスクとその安全確保策に関する情報発信を行い、全国的な関心の喚起と理解の浸透に努めた。

 また、全国各地の諸団体による地層処分事業に関する学習活動を支援する事業を拡充するとともに、団体自らによる情報発信や団体間の交流を促すことにも取り組んだ。

 更に、報道関係者には機構事業に対するより深い理解のもと、情報を発信していただくことが重要であることから、事業説明の機会を求めて記者等との勉強会や懇談会の開催、新聞社等への訪問に努めた。

 こうした多様な対話活動を効果的に実施するため、説明会のアンケート結果の分析と改善策の検討、事後広報の充実、地域特性に応じた活動を行うための発電用原子炉設置者等との連携、社会的側面の調査・研究支援(事業の経済的影響や関係法令等の調査、専門家による調査・研究への支援)、参加者目線の説明資料の作成・更新、対話における訴求事項の明確化、対話能力向上に向けたトレーニング(個別テーマごとに知識と理解を深める研修会、ファシリテーション研修、ロールプレイング研修)等も実施した。

2.技術的信頼性の一層の向上と計画的な技術開発

 1999年に核燃料サイクル開発機構(現在の日本原子力研究開発機構)が公表した「第2次取りまとめ」では、日本においても地層処分を事業化の段階に進めるための信頼性ある技術基盤が整備されたことが示された。その後も引き続き、事業の技術的信頼性の更なる向上を図るための技術開発を行ってきており、機構がどのようにサイト選定の調査を進め、安全な処分場の設計・建設・操業を行い、閉鎖後の長期に亘る安全性を確保しようとしているのかについて、これまでに蓄積されてきた科学的知見や技術を統合して包括的に説明し、事業者の立場から技術的取組みの最新状況を示すことを目的として、「包括的技術報告書(レビュー版)」を作成・公表した。また、同「報告書」の日本原子力学会によるレビューを開始するとともに、国際的な専門機関であるOECD/NEAによるレビューに向けて同「報告書」の英文化を進めた。

 また、同「報告書」が示す知見の信頼性を第三者が確認できるよう、記述の根拠情報である関係する技術開発成果等を体系的に閲覧できる特設サイトを機構ホームページに設置する。加えて、同「報告書」等を基に、機構自らがどのようにして安全な地層処分を実現していくのかを分りやすく情報発信するため、報道機関向けの説明会を実施するとともに、一般向け説明会の準備を進めた。また、機構の有する技術力への信頼性の向上を図るため、関係学会等の専門家への継続的な情報発信の観点から、同「報告書」の作成過程で得られた新知見に関する学会・論文発表を積極的に行った。

 技術開発に関しては、「地層処分研究開発に関する全体計画(平成30年度~平成34年度)」(以下、「全体計画」という。)に基づき策定した機構の「地層処分事業の技術開発計画(2018年度~2022年度)」(以下、「中期技術開発計画」という。)に則して、地質環境の調査・評価技術、処分場の設計と工学技術、閉鎖後長期の安全性の評価技術の開発に、国及び関係研究機関と連携を図りながら計画的に取り組んだ。

 更に、安全と品質に係る業務管理の強化の観点、技術開発を支える人材の確保と育成の観点、実施主体としてのリーダーシップと企画力を充実する観点から、品質マネジメント(委託業務を含む業務の品質と安全の確保等)の仕組みの整備、評議員会の評価・提言や技術アドバイザリー委員会等の助言と確認を活用し、業務の品質・信頼性、安全性を確保する組織能力の更なる向上に取り組んだ。

 また、国際関係業務に関しては、共同研究等の推進及び情報交換・技術交流、技術や知識に係るベンチマークの取組みを行ったほか、ドイツ、韓国の実施主体との協力協定や台湾との覚書を更新し、二国間対話や国際会議への参加を通じて相互裨益の観点から効果的な国際交流・国際貢献に努めた。また、国とも連携して、2018年4月には日本・フィンランド共同セミナー、11月にはOECD/NEAによる国際ワークショップを開催し、透明性のある対話を通じてステークホルダーの声に耳を傾け、安全性に係る技術的な信頼と組織としての信頼を構築していくことや、国際連携を通じて成功事例から常に学び続けることが重要である、との認識を共有した。

 更に、人材育成に関しては、国内外の関係機関等と連携した共同研究現場や土木工事現場への職員の派遣等による現場経験の付与に努めるとともに、「全体計画」を取りまとめた地層処分研究開発調整会議(以下、「調整会議」という。)に参加した関係機関の協力を得て人材育成プログラムとその運用方法の開発を進め、同プログラム研修を試行的に開催した。これらに加えて、社会のみなさまの技術に対する関心の相互理解を深めるために技術部職員の対話活動への積極的な参加を重視し、そのために機構内のロールプレイング研修に参加するなど対話能力の向上にも継続して努めた。

3.組織運営の更なる強化

 事業運営に重大な影響を及ぼしうる「経営リスク」をはじめとする様々なリスクに対するマネジメントの取組み強化のほか、理事会の定期開催、非常勤理事の一名増員、内部監査の実施、情報セキュリティ対策の強化、コンプライアンス遵守の徹底、規程・マニュアルの整備等、様々な施策を通じてガバナンスの一層の強化を図った。加えて、意見交換会の参加者募集に関する不適切事案を踏まえて2018年1月に策定した再発防止策の履行状況を定期的に確認することにより、再発防止の徹底を図った。

 また、業務の実施状況を定期的に自己点検するとともに、評議員会による評価・提言を速やかに事業活動に反映(9月評議員会開催)することにより、事業活動の着実な実施と改善に努めた。

 更に、全国的な対話活動を強化するため新たに広報部を設置したほか、職場風土の改善・風通しのよい職場づくりの観点から、研修プログラムにグループディスカッションを取り入れるとともに、コスト低減やマニュアル整備等については、部門横断のワーキンググループを設置して具体的な取組みを定め、職員一丸となって進めた。

 また、「中期事業目標」の達成に向けて策定した「中期人材確保・育成方針」に基づき、定期採用や出向者のプロパー化等による人材確保に努めたほか、各種研修の階層別実施(若手・中堅、新任管理職向け)等を通じて人材育成を計画的に進めた。

 その他、ハラスメント研修の実施や労働時間管理の徹底等を通じて、働きやすい職場環境づくりを進めた。

【2019年度の事業実施方針】

 2018年度の事業活動及び評議員会による評価・提言並びに「第5次エネルギー基本計画」における「高レベル放射性廃棄物の最終処分に向けた取組の抜本強化」の方針を踏まえ、機構は、持てる経験・知見及びスキルやリソースを結集し、総合的なマネジメントのもと「中期事業目標」の早期実現に向けた取組みを一層強化・加速させる。

 2019年度における事業分野ごとの実施方針は以下のとおりとする。

(対話活動)

 2017年7月に策定した「原子力発電環境整備機構対話活動計画」(以下、「対話活動計画」という。)に基づき、「グリーン沿岸部」地域を中心に全国各地で地域特性に応じたきめ細かな対話活動を積み重ね、地域のみなさまの関心を一層喚起する。また、様々な地域で行われている諸団体による学習活動を支援するとともに、団体自らの情報発信や他の団体・関係者等との交流・熟議が行われるよう、十分な情報提供と丁寧な対話、支援を積み重ねていく。更に、地域における取組みを社会全体で支えていただけるよう、Webメディア及びマスメディアの活用や各種イベントへの出展等により広く全国に情報発信を行い、社会のみなさまの関心や疑問に耳を傾け、対話を通じてより理解を深めていただくために、広範な対話活動を継続する。

 なお、説明会等の運営に際しては、機構の取組みを身近に感じ信頼感を持っていただけるよう、職員自らの顔の見える取組みや双方向の対話を充実させる。このため対話能力やファシリテーション能力を継続的に強化する。

 これらの取組みを通じて全国の複数の地域で文献調査の受け入れと着手を目指す。

(技術開発)

 地層処分事業に対する技術的信頼性のより一層の向上を目指して、「中期技術開発計画」に則して、地質環境の調査・評価技術、安全かつ着実に操業できる処分場の設計と工学技術、閉鎖後長期の安全性の評価技術の開発を着実に進める。

 また、「包括的技術報告書」の外部レビューに的確に対応するとともに、その結果を踏まえて今後の研究課題を整理し、「全体計画」へ反映するべき点が見出された場合には、関係機関と協議してこれを反映するとともに、機構の2020年度以降の「中期技術開発計画」を見直す。

 更に、同「報告書」で取りまとめた処分場の設計から建設・操業・閉鎖に至るまでの技術検討を踏まえて、引き続き、安全の確保を最優先に着実に操業できる合理的な処分場の設計の検討を進める。

 同時に、地層処分の技術的信頼性に関する専門的な評価が社会のみなさまに十分には共有されていない状況に対応するため、同「報告書」に基づく情報発信に努めるとともに、対話活動で得られたご意見をこれらの取組みに反映していく。

 また、地層処分事業の技術的推進基盤をより確かなものとするため、文献調査及び概要調査に向けたプロジェクトマネジメント能力の核となる人材の育成とそのための技術の体系的な整備に取り組む。このため、国及び国内外の関係機関等と緊密な連携を図り、共同研究や国際共同プロジェクト等への職員の派遣・人的交流を通じて知識・経験の継承、蓄積に努める。加えて、地層処分は長期に亘る事業であることを見据えて、国内関係機関の協力のもと効果的な人材育成プログラムの運用とその継続的発展に取り組むとともに、我が国で蓄積した技術や経験を国際社会に発信するなど、国際貢献にも努めていく。

(組織運営)

 地層処分事業が長期に亘る事業であることを踏まえ、事業期間を通じて社会から信頼され続ける事業主体であることを目指し、従来から取り組んできたガバナンスの高度化に係る取組みを継続することを基本に、公正かつ適切な事業運営を行う。

 また、2018年6月に策定した「中期人材確保・育成方針」に基づき、対話活動の更なる充実や技術開発の推進等、今後の事業の進展を見据えた計画的な人材の確保・育成に取り組むとともに、文献調査の実施等、新たな事業展開にも的確に対応できるよう組織体制の整備と増強に向けた検討・準備を進める。

 なお、事業の推進に当たっては、機構の活動原資が電気料金であることを自覚し、常にコスト意識を高く持ちつつ効率的な業務実施と適切な経費削減に努める。

Ⅰ 地域特性を踏まえた多様な対話活動の実施

1.文献調査の受け入れと調査の着手を目指した対話活動の拡充

(1)地域特性に応じたきめ細かな対話活動

 2018年10月から実施している「グリーン沿岸部」地域を中心とする全国各地での説明会に継続的に取り組み、マップの位置づけや要件・基準、文献調査開始後の取組みの提示、「対話の場」の設置、事業が地域社会に与えるプラス面やマイナス面の影響等について、地域特性を踏まえつつ、具体的な事例等を紹介しながら分かりやすく説明し、事業に対する関心を高めていただく。

 こうした説明会の展開を通じて関心を持っていただいた方々には、地域の将来ビジョンと事業との関わり等について考えていただけるよう努め、下記(2)の「学習支援事業」への参加の勧奨や学習活動の提案等のフォローを行うとともに、地域事情を把握しながら丁寧なコミュニケーションを図っていく。

 また、説明会の開催に際しては、事前事後に開催地及び周辺自治体や都道府県当局、更には報道機関、経済団体等を訪問して、説明会の趣旨を含め、地層処分事業について丁寧な説明を行う。更に、自治体関係者には実施内容の報告等に努める他、参加や傍聴を案内する等、必要な情報提供を行い、理解と協力を働きかける。

(2)地域の学習活動の拡充・深化の支援

 過年度の「学習支援事業」における勉強会活動等を通じて地層処分事業に関心を持っていただいた団体や地域で学習を希望する団体等の学習活動を引き続き支援するとともに、学習活動成果等を活発に情報発信して、他の団体や関係者等とのネットワークを構築し、地域大、更には地域を越えての交流や連携をしていただくための場の提供を行う等、きめ細かな対応を行い、各団体の学習活動の一層の拡充・深化を支援する。

 また、こうした活動を社会全般に訴求できるよう、機構として対外広報に努める。

(3)文献調査の受け入れを目指した地域での取組み

 複数地域での文献調査の受け入れを目指して、自治体当局や地方議会等への情報提供、訪問説明、学習会等を行う。

 学習会等においては、文献調査の進め方を提示するほか、機構が行う地域への情報提供や合意形成に向けた取組み等、文献調査の受け入れに至る道筋や文献調査の受け入れ後に自治体や機構が地域で行う「対話の場」の設置、経済社会影響調査、概要調査に係る許認可等各種行政手続き、地域の将来構想等と事業との関わり方、地域共生の在り方等、社会的側面に関わる取組みについて、自治体当局等と共に考え、相互に理解を深める。こうした相互理解とコミュニケーションを積み重ねる中から、文献調査の受け入れに向けた検討を重ねていただける地域が出てくるよう取り組む。

 また、自治体や団体等の意向を踏まえて、地域のみなさまに更なる情報提供を幅広く行い、意見交換等を重ねるとともに、周辺自治体や都道府県当局等にも広域的な情報発信を行う。

 こうした取組みを円滑に実施できるよう、文献調査の受け入れを検討する地域のみなさまの関心や要望を想定して、文献調査の進め方など、相手目線で分かりやすく情報を提示できるよう準備する。また、その結果を踏まえて取組み内容の改善と対応体制の強化を進め、自治体からの文献調査への「応募」や、機構が行う調査や対話活動等への理解と協力に係る国から自治体への「申入れ」に向けて環境を整える。

(4)地域における調査受け入れ等の活動を社会全体で支えていただくための取組み

 地域における関心の高まりを支えるために次世代層をはじめとする社会の各層に向けて、多様な媒体を効果的に活用して地層処分の重要性やリスクとその安全確保策等の技術的内容に関する情報を広範に発信して、理解や関心を高めていく。

 具体的には、Webメディア及びマスメディアの効果的な活用、人の集まる場所でのブース等の出展、地層処分模型展示車等を用いた全国各地での出展、交通機関や自治体・諸団体の広報誌・各種雑誌への広告、寄稿、海外情報をテーマとするシンポジウムの開催等により、広く社会へ情報発信する。更に、各地の大学等への「出前授業」、学園祭等への出展、教育関係者や次世代層との協働活動等を通じて、次世代層への情報発信も積極的に行う。

 これらの情報発信の際には、「対話活動改革アクションプラン」等に基づいて、インターネットによる説明会の映像の配信、ヴァーチャルリアリティ映像の活用を継続的に実施するとともに、報道やSNS等を通じて広く社会に情報が共有されるよう努める。

 また、報道関係機関(論説委員や記者)への正確な情報提供はもとよりステークホルダーや多分野の専門家、学会・技術士会等へ適宜適切に情報を提供し、事業に関する深い理解のもとに情報発信していただく。特に、地層処分以外の専門家等への継続的な情報提供、更には概要調査地区選定や規制基準の整備等を見据えた学会・専門家への情報提供にも努める。

 こうした取組みを通じて、地域における学習活動や文献調査の受け入れに係る検討等を社会全体で支えることの重要性の認識が社会に広まるように努める。

2.これらの対話活動を効果的に充実させるためのマネジメントの強化

(1)各種対話活動の総合的なマネジメントの強化

 上記1の「グリーン沿岸部」地域を中心に地域特性に応じたきめ細かな対話活動並びに全国各地で社会各層へ広く情報発信を行う各種対話活動を通じて、社会のみなさまの関心を一層喚起し、文献調査の受け入れとそれを社会全体で支える環境の整備に確実に繋がるよう、説明会、学習支援、各種広報活動、情報発信等の対話活動全体を俯瞰し、それぞれを連携・集中させる等により、多様な活動の効率性と相乗効果を高めていく。

 また、各種対話活動を通じて得られた知見や社会のみなさまからいただいたご意見等を評価・分析し、その結果を以降の活動に反映しながら、継続的に対話活動の改善を図っていく。

 加えて、機構の技術力や地域共生の決意に対する信頼を高めていただくことを念頭に、分りやすい説明資料の作成、地域の関心に的確にお応えすることや機構の取組みを身近に感じていただくことができる広報ツールの作成等を自らの経験はもとより内外の知見を踏まえて工夫する。また、文献調査期間において、当該地域におけるまちづくりなど、地域の発展を共に考え、実現することができるような人材育成に取り組んでいく。

 更に、地域特性等に応じたきめ細かな対話活動の実施や全国各地での関心の高まりへの迅速な対応に向けて、発電用原子炉設置者等による理解活動と密接に連携するとともに、必要に応じて発電用原子炉設置者等からの人的支援を得て、対話体制の増強を図る。

(2)現場マネジメント力の強化

 説明会等の運営の全体統括者の現場マネジメント力を強化して、リスク管理や公正性の確保を徹底し、参加者の目線に立つことを忘れずに会合が効果的なものとなるように絶えず柔軟に運営方法等を工夫・改善することに努めるとともに、実際の説明会での対話や模擬訓練によって得られる教訓を通じて職員の能力向上を図る。

 また、地域社会の関心の高まりに的確に対応するべく、地域情勢やニーズ、関心事項等の把握と対応に努める。更に、あらゆる機会を通じて、機構職員の「顔の見える取組み」や双方向対話の推進に努め、対話活動の一層の充実に取り組む。

(3)効果的な事後広報の充実

 説明会等に来場できなかった方々に対し各種の情報や活動状況をお知らせするため、機構ホームページへの説明会等の様子(録画配信)の掲載やメールマガジン、SNS等のWebメディアを用いた情報発信とともに、報道機関への記事化の働きかけ等を通じて、広く、タイムリーに、分かりやすく活動内容等を公表し、効果的な事後広報に努める。

(4)社会的側面に係る取組み等の立案準備と調査・研究の支援及び活用

 自治体や地域のみなさまに、地域社会と事業との関わりについて分かりやすくリアリティをもって理解いただき、文献調査の受け入れ等の検討を具体的に進めていただけるよう、地域特性を踏まえた合意形成の進め方(「対話の場」設置)、事業が地域社会に与えるプラス面やマイナス面の影響の調査(経済社会影響調査)と影響への対応、地域共生の進め方、概要調査に係る許認可等各種行政手続き等、文献調査期間中に自治体当局や機構が地域で行う社会的側面に係る取組みについて必要な準備を進める。これらの取組みを補強する観点から、必要に応じて機構外の専門家等の支援を得る。

 また、地層処分の社会的側面に係る諸課題等に関して関係学会や専門家等が行う調査・研究への支援については、2018年度の取組みを踏まえて募集告知方法や成果の活用等の工夫・改善を図りつつ継続して実施し、そこで得られた知見を広く社会へ情報発信して、一般のみなさまはもとより報道関係者、多様な分野の専門家や関係学会の関心喚起に繋げていく。また、地域における対話活動の深化・展開を踏まえて、地層処分事業の社会的受容状況等についても知見を蓄え、対話活動の改善を図っていく。

(5)実施結果の分析・自己評価及び事業活動の改善

 対話活動の効果や課題、社会のみなさまから寄せられた関心や疑問の内容等について調査・分析し、速やかに事業活動へ反映する。また、対話活動の取組みを総合的に自己評価し、評議員会による評価・提言等、有識者や専門家から助言を得て、取組みの改善を図る。

 更に、これらの取組みの所産は適宜マニュアル等に文書化して蓄積し、業務運営の更なる改善や人材育成、ノウハウの継承に役立てる。

 こうした取組みを通じて、安全を最優先に事業を遂行する事業主体としての信頼に加えて、地域の声に耳を傾けながら地域貢献も進めるパートナーとしての信頼を得られるよう努める。

3.これらの対話活動を円滑に実施するための人材育成

 上記の対話活動を公正で信頼される取組みとするとともに効果的に実施するため、人材の育成及び体制の整備に取り組む。

 具体的には、日常業務におけるOJTのほか、外部の専門家によるファシリテーション研修及びロールプレイング研修、個別テーマごとに知識と理解を深める研修会等を通して、機構大としての対話能力の研鑽に資する取組みを積極的に進め、運営・応対品質等の向上を図るとともに、文献調査を受け入れていただいた地域における様々なニーズにお応えできるよう、合意形成や地域共生、概要調査に係る許認可等の行政対応に関する知識の習得やスキルの鍛錬に加えて、これらの取組みに関連する幅広い分野の専門家等との関係構築等を図る。

 また、地層処分事業の先進国の事例研究や国際機関の会合における各国との情報交換を通じて広報・理解活動の効果的な実践例や経験を学び、対話活動の改善に役立てる。

Ⅱ 「中期技術開発計画」に基づく技術開発と技術的信頼性の一層の向上

1.「中期技術開発計画」に基づく技術開発

(1)地層処分に適した地質環境の設定及びモデル化技術の高度化

 自然現象の発生とその影響に係る将来予測に関する技術の信頼性や、サイトの調査・評価技術の信頼性を一層向上させる観点から、地震・断層活動の活動性及び影響の調査・評価技術の高度化に取り組むとともに、ボーリング孔を活用した調査・モニタリング・閉塞技術の体系的な整備に継続的に取り組む。

 また、国により行われてきたこれまでの基盤研究の成果や事例研究を通じて得られた科学・技術的な知見等を統合して地層処分技術としての実用化を進める。この観点から、自然事象の長期的な発生可能性及び地質環境の状態変遷の評価技術や処分場の設計及び閉鎖後長期の安全評価との連携に必要となる技術の整備を進める。加えて、「包括的技術報告書」で集約した知見に基づき、広域スケールの水理場や化学場などの地質環境特性が、将来百万年といった時間スケールにおいて想定される変遷についてモデル化する技術の高度化を図る。

(2)処分場の設計と工学技術の開発

 処分場の設計と工学技術に関し、安全性の更なる向上を図るとともに、安全確保を最優先に設計の合理化に向けて技術開発を進める。

 安全性の向上に資する取組みとして、地層処分相当低レベル放射性廃棄物(TRU廃棄物)の操業中及び閉鎖後における閉じ込め性能の一層の向上を図った廃棄体パッケージ仕様の開発を進める。閉鎖前の安全性の評価については、評価の信頼性向上を図る観点から、処分場の地上・地下施設で発生する可能性のある異常事象として火災や廃棄体周辺の放射性分解による水素ガス発生への対策をより堅牢にするための検討を進める。また、回収可能性を維持することに伴う閉鎖後長期の安全性への有意な影響を評価するための技術について整備を進める。処分場の建設・操業技術については、作業従事者の安全性の向上を図る観点から、遠隔操作化・自動化に関する技術開発に取り組む。この際、効率性や品質向上に資することもあわせて検討する。

 安全確保を最優先に設計の合理化に向けた取組みとして、人工バリア(オーバーパック及び緩衝材)の様々な代替材料の適用性に関する技術的な成立性の検討を進める。また、人工バリアの有力な設計オプションの一つと考えられるPEM方式を対象に、人工バリアの製作・施工技術について、適用性・実用性の観点から段階的な技術の実証に向けて、関係する施設・設備の設計検討を進める。

(3)閉鎖後長期の安全性の評価に関する技術開発

 安全評価のシナリオ構築に必要となる処分場閉鎖後の長期に亘る地層処分システムの状態変遷を評価するためのニアフィールドを対象に熱-水理-力学-化学の相互影響により生起する現象を対象とした解析(以下、「現象解析」という。)モデルの妥当性の確認を進める。また、現象解析の結果などに基づき設定される安全評価のシナリオと、核種移行解析ケース設定の判断の経緯とその論拠を体系的に管理するためのツールの開発に取り組む。

 また、安全評価における核種移行解析モデルに関して、地層処分システムの状態変遷や処分場の設計仕様等を反映した核種移行解析モデルの高度化に取り組むとともに、この解析に必要となる放射性核種の熱力学データ及び収着・拡散等の核種移行データの拡充・整備や、実際のボーリング調査により得られるサイト固有の地質環境情報に基づき核種移行データを設定する手法の構築に取り組む。

 更に、地層処分事業が長期に亘る事業展開となることを見据え、地層処分技術の持続的な改善と向上を図るため、諸外国のセーフティケースの進展状況に関する情報収集を継続的に行う。加えて、文献調査の期間に進める概要調査地区選定と概要調査計画の立案の円滑な実施に向けて、各国における地層処分に関する安全規制基準、安全審査における論点の評価を行うとともに、関連する中深度処分事業に関する規制基準の整備状況(中深度処分に関する規制基準の動向)等に関する情報収集を継続的に行い、必要に応じて関係省庁との情報交換等を模索する。

2.「包括的技術報告書」等を活用した地層処分技術集団としての信頼獲得のための情報発信

「包括的技術報告書」に対する日本原子力学会及び国際的専門機関であるOECD/NEAによるレビューへ的確に対応し、必要に応じて技術的根拠の補強や情報の追加、同「報告書」の修正等を行い、地層処分技術の信頼性を一層高める。

 また、レビュー結果については広く社会へ情報発信する。

 その他の技術開発成果に関しても学会等へのタイムリーな公表はもとより、その高度化・向上の意義や効果等の丁寧な説明を添えて社会に分かりやすく情報発信する等により、地層処分の技術的信頼性に関する専門的な評価が社会のみなさまに共有されるよう努める。

 更に、レビュー結果を基に今後の研究課題を整理し、「全体計画」へ反映するべき点が見出された場合には、関係機関と協議してこれを反映するとともに、機構の2020年度以降の「中期技術開発計画」の見直しに取り組む。

3.処分場の設計検討

 安全の確保を最優先に、事業者の観点から「包括的技術報告書」で示した処分場の設計・建設・操業・閉鎖の考え方に関して、安全かつ着実な事業運営の観点から現時点における最適化・合理化の検討を進める。

 具体的には、処分場の安全かつ着実な建設・操業を目標に、経済合理性を考慮した地下施設レイアウトの最適化、処分場の建設工事や操業(放射性廃棄物の受け入れ時の検査や搬送・定置)の遠隔操作化・自動化に関する検討等、「包括的技術報告書」における検討内容からより一層の最適化及び合理化の検討を進める。また、上記1.(2)に記述した「中期技術開発計画」に基づく処分場の設計と工学技術の開発において進める人工バリアの代替材料の適用性や技術的成立性の検討を踏まえ、人工バリアの設計オプションに関する検討に取り組む。

4.技術マネジメントの一層の強化

 技術開発の成果を地層処分事業に反映していくためには、長期に亘る事業全体はもとより海外を含む廃棄物処分に関連する様々な関係機関の取組みや多岐に亘る技術分野の動向も幅広く見通して、必要となる最新の技術や知見を見極め、それらを的確に吸収・統合して地層処分事業の実施主体としての技術力を着実に高めていくことが重要である。そのため、以下の取組みにより、事業を推進するプロジェクトマネジメント力を主体とする技術マネジメントを一層強化する。

 また、こうした取組みを支える人材の確保・育成と実施体制の整備を推進する一方、我が国で蓄積した技術や経験を国際社会に提供する等により国際協力・貢献にも努めていく。

(1)プロジェクトマネジメント等の強化

 文献調査、概要調査地区選定、概要調査の円滑な実施に向けた一連のプロジェクトマネジメント、技術マネジメントを一層強化するため、文献調査及び概要調査の計画策定に係る実践的能力を強化する。

 更に、処分場の設計・安全評価に関する技術要件の整理及び科学技術的知識・情報・データの管理に関する技術マネジメントを円滑に展開するための仕組みとそれを支援するツールの開発・整備に取り組む。

 こうした技術マネジメントを円滑化する仕組みと支援ツールの構築にあたっては、機構や関係機関間のデータベースの連携等を進め、関連する技術的情報が広く社会と共有されるよう努める。

 更に、「中期技術開発計画」に基づく技術開発の着実な推進や成果の品質・信頼性の向上を図るため、評議員会による評価・提言、技術アドバイザリー委員会からの助言を踏まえ、以降の技術開発における取組みの改善に繋げていく。

(2)共同研究等への派遣・人的交流による技術力の向上

 研究インフラを有する国内外の関係機関等との技術連携の一層の強化のもと、共同研究や国際共同プロジェクトへの職員の派遣・人的交流を積極的に行い、協働を通じて、地層処分事業の先進国をはじめ各機関等の有する暗黙知も含めた知識・経験を学び、着実な継承・発展を図る。

 また、地層処分に類似した関連業界との連携を模索し、若手職員を中心に現場経験の機会の付与等による実践的な人材育成に努める。

(3)長期的事業展開を見据えた人材確保・育成

 長期に亘る地層処分事業の進展段階を見据えた人材確保・育成に資する取組みとして、「調整会議」に参加した関係機関の協力のもと、主要な技術分野(地質環境の調査・評価、処分場の設計と工学技術、閉鎖後長期の安全性の評価等)に関する効果的な人材育成プログラムとその運用方法の開発に継続的に取り組み、関係機関のみならず大学・専門学校・関連業界等との連携等に努める。

 また、地層処分事業の進展に応じて各段階で必要となる技術者の専門性や要員数を見通して長期的な人材確保方策を検討するとともに、新卒・キャリアの計画的な採用に取り組み、技術人材の確保に努める。

(4)国際協力・貢献

 各国との共同研究を実施するとともに、我が国で蓄積した技術や経験を国際社会に提供すること等により、地層処分技術の信頼性を国際レベルで高めるための取組みを進める。特に、今後、地層処分計画に本格的に取り組もうとしている国々に対して情報提供を行い、意見交換等を通じて貢献していく。また、地層処分技術に関して、地域住民の理解を深めるためには、地域コミュニティ等とどのように対話を重ねるかなど、各国とも知見共有を目指していく。

Ⅲ 文献調査を受け入れていただいた場合のその地域における円滑な調査着手に向けた取組み

1.文献調査計画の提示と調査への着手

 文献調査を受け入れていただいた場合には、その市町村(以下、「調査市町村」という。)をはじめ地域で説明会等を開催し、調査の手順、収集を想定している文献、評価の概要のまとめ方等を取りまとめた「文献調査計画」について分かりやすく情報提供するとともに、地域のみなさまへ文献調査への協力を要請する。

 そのうえで、最終処分法に定められた、断層活動、火山・火成活動などに関する要件に関する調査・評価等を実施し、概要調査地区を選定していく。

 なお、文献調査の開始等に伴い必要となる場合は、本事業計画を改定する。

2.地域に根差した対話・交流活動の実施

 調査市町村やその周辺地域のみなさまと事業に関する情報を共有し、対話を重ね、機構の事業活動等について理解を一層深めていただくとともに、地域の一員として信頼していただけるよう、活動の拠点として必要に応じて現地事務所を開設し、きめ細かく丁寧な対話・交流活動を行う。

 具体的には、事業の内容や安全確保策、文献調査や経済社会影響調査の進め方等に関する情報提供のほか、地層処分事業によってもたらされるプラス面・マイナス面の影響や地域の諸課題・将来ビジョン、地域産業や経済状況等を踏まえて、当該地域に即した地域共生に係る具体案を検討する。検討に際しては、産業活性化やまちづくりに係る知見や先進事例等を調査・分析しながら地域のみなさまと一体となって地域振興プランを作成し、地域の未来像を取りまとめる。こうした取組みのアウトラインについても、上記1に記述した地域で行う説明会等の場で「文献調査計画」とともに情報提供する。

 また、こうした事業と地域の将来像等について地域のみなさまに議論していただけるよう、調査市町村をはじめ国及び関係機関等との協議を踏まえて設置された「対話の場」においては、文献調査や経済社会影響調査の進捗状況等、様々な情報提供を行うとともに、みなさまのご意見やご要望を伺い、地域における事業活動に反映する。

 更に、地域イベントへの参加や共催等を通じて地域のみなさまとフェイス・トゥ・フェイスの交流を深め、地域の一員として受け入れていただけるよう努める。

Ⅳ 事業活動の更なる高度化に対応した組織運営

1.ガバナンスの高度化の継続的な推進

 公正かつ適切な事業運営の基盤となる理事会の運営、内部監査の実施、コンプライアンスの遵守、リスクマネジメントの一層の強化、セキュリティ対策の強化、規程・マニュアル等の文書管理の整備の取組み等を着実かつ的確に推進し、ガバナンスの高度化を継続的に進める。

 特に、理事会の運営については、多岐に亘る事業活動を適切かつ着実に進めるため、定款に基づく「業務の適正を確保するための体制の整備について」の決議や各事業の推進に係る理事の職務執行状況の確認等を適宜実施する。

 また、リスクマネジメントについては、リスクマネジメント委員会活動の定期的な実施、リスクマネジメント実施状況のモニタリングと指導・助言といった取組みを一層強化するとともに、経営層の意思決定に伴う事業戦略に関わる「戦略リスク」について機構大でのマネジメント方法の検討を進めるほか、その取組みについて、課題を抽出・整理し、継続的に改善していく。一方、リスクの顕在化に備えて、危機対応の体制の機能性を高めていく。

 更に、高度化するサイバー攻撃への対応や情報漏えい防止への対応等に係るセキュリティ対策の強化を継続的に進める。また、職員研修・啓発活動を定期的に実施し、業務を進めるうえで機構の職員としてあるべき倫理観やコンプライアンス意識を高める。

2.絶えざる業務改善と効率化の推進

 「中期事業目標」に照らして事業の全体的な進捗状況を確認するとともに、個別業務の実施状況の自己点検の結果や評議員会による評価・提言、内部監査での指摘事項、部門横断のワーキンググループの検討内容等を速やかに事業活動に反映し、絶えず事業活動の改善と効率化を進める。また、文献調査の着手等の事業の進展に伴い本計画の修正や追加等が見込まれる場合は速やかに対応する。

3.計画的な人材の確保・育成

 2018年6月に策定した「中期人材確保・育成方針」に基づき、対話活動の更なる充実と技術開発の推進及び組織運営の高度化に向けて、計画的な人材の確保と育成に取り組む。

 人材確保については、各種就職セミナーへの出展等の求人活動や学生への情報提供の工夫や改善により新卒職員を計画的に採用するとともに、事業の進捗に応じて経験豊富な人材のキャリア採用を実施する。また、発電用原子炉設置者等や関係機関の協力を得て事業展開に必要となる専門的スキル・経験等を重視しつつ出向者の確保を図る。

 人材育成については、新人、中堅、新任役職者等を対象とする階層別職員研修等を通じて、職員の能力向上を図るとともに、各部門で実施する職員研修の多様な取組みについて適宜実施状況を取りまとめ、「中期人材確保・育成方針」等に照らしてチェックアンドレビューを行う。

4.組織体制の整備と増強に向けた検討・準備

 文献調査の受け入れを目指した対話活動の更なる充実と拡大、更には複数地点での文献調査の受け入れ等にも機動的に対応できるよう、今後の事業展開を見据えて、活動拠点や現地事務所のほか必要となる組織体制の整備と増強について検討・準備を進める。

5.意見交換会の参加者募集に関する事案の再発防止等に向けた取組みの継続・徹底

 委託管理の徹底や業務品質の恒常的な改善等、「科学的特性マップに関する意見交換会」の参加者募集に関する不適切事案を踏まえた再発防止策の継続・徹底を図る。

6.職場総合力の向上

 業務量の増減に応じた実施体制や業務手順の工夫・見直し、適正かつ計画的な要員配置、ワークライフバランスや職員の健康増進等に配慮した施策等を通じて働きやすい職場環境を醸成するとともに、機構内コミュニケーションの活性化や部門横断的な情報流通を一層促進する。また、業務知識の継承や平準化・共有を進め組織として成長する観点から、引き続きマニュアル等の整備に取り組むとともに、創意工夫の実践機会や発表機会を拡大する等して、役職員一丸となって業務遂行にあたるチーム意識や組織改善に向けた意識の向上を図る。こうした取組みを通じて職場総合力の向上を図る。

7.適切な情報公開

 情報公開規程に則って積極的かつ適切に情報公開に取り組み、事業の透明性を確保することにより機構への信頼性を高めていく。

Ⅴ 拠出金の徴収

 「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」(平成十二年法律第百十七号)第11条及び第11条の2の規定により、発電用原子炉設置者等から拠出金を徴収する。