地下水
モニタリングのための
新しい装置を開発中!レーザーを使って
地下の様子の連続測定を可能に
地層処分事業では、地下施設の建設前から建設・操業、閉鎖に至る長期間、地下水の水質の変化をモニタリングする予定です。地上で連続的に計測するため、私はレーザーを使って地下水をモニタリングできる新しい装置の開発に携わっています。現在は地下水を汲み上げ研究室で分析するのが一般的ですが、この装置が完成すれば地下深部で直接測定でき、水温や水圧など地下環境に近い状態での測定が可能になります。
私は大学院で、レーザーや放射光※1を使い、原子や分子の構造を調べる研究を行っていました。その後、国立研究所や大学で、物質の構造や機能との関係を調べたり、レーザーを利用して同位体※2を分離する技術などを開発していました。これらの経験が、今の装置開発の仕事に役立っています。
地下水中の物質の濃度を調べるには、非常に薄い濃度でも測定でき、ボーリング孔に設置できるくらい小型化(直径40mm程度)する方法が必要です。東京大学との共同研究では、最先端の吸収分光法※3を適用して試作した装置【写真】を使い、大気中に含まれる数ppmレベルのメタンガス(14CH4)や、同位体で非常に濃度が薄いメタンガス(13CH4)も測れることを確認しています。現在は、装置の小型化やメタンガス以外の特定分子を測れる装置の製作や、地下水中から測定する特定分子だけを分離する技術に取り組んでいます。
開発中の装置が将来、地層処分の安全性を確認するうえで不可欠な技術となるよう、日々の様々な課題に挑戦していきたいと思っています。
- ※1:荷電粒子が方向を変えたときに出す電磁波
- ※2:原子核の陽子数は同じだが中性子数が違う原子
- ※3:試料に光を吸収させ、吸収量から物質の種類・量を特定する方法
開発した装置の外観。黄色部分の装置(長さ約40cm)を水中に入れて測定する。赤い矢印はレーザーの進む方向を示す。