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高レベル放射性廃棄物は、地表から300メートル以上の深さの安定した岩盤に地層処分します。
地層処分とは、放射性物質を長期間にわたり私たちの生活環境から隔離し、放射性物質を地下深くの岩盤に閉じ込める方法です。
地層処分では、地下深くの岩盤が持つ物質を閉じ込める機能(天然バリア)に加えて、さらに放射性物質をより確実に閉じ込めるために施される人工バリアを組み合わせた多重バリアシステムを用います。
人工バリアは、ガラス固化体、オーバーパック(金属製の容器)、緩衝材(粘土)で構成されます。
バリア1(人工バリア):ガラス固化体
~放射性物質をガラスの網目構造に取り込み、地下水に溶け出しにくくします~
使用済燃料の再処理の過程で分離される高レベル放射性廃液とガラス原料を1,200℃程度の高温で融かし合わせてステンレス容器の中で固めたものです。ガラス自体は水に非常に溶けにくいという特徴があるため、放射性物質をガラスと一体とすることで、放射性物質を地下水に溶け出しにくくします。
バリア2(人工バリア):オーバーパック(金属製の容器)
~地下水をガラス固化体に触れにくくします~
ガラス固化体を封入する厚い金属製の容器です。ガラス固化体の放射能レベルの99.9%以上が失われるまでの1,000年の間、地下水とガラス固化体の接触を防ぎます。
バリア3(人工バリア):緩衝材(粘土)
~地下水と放射性物質の移動を遅らせます~
オーバーパックの周囲を覆うもので、ベントナイトという天然の粘土を主成分としています。水を通しにくくすることで、地下水がオーバーパックに接触するのを遅らせ、またその後ガラス固化体から溶け出た放射性物質を収着することで放射性物質の緩衝材外側への移動を遅くします。
バリア4(天然バリア):天然の岩盤
~放射性物質の移動を遅らせます~
地下深部の地下水は酸素が非常に少ないため、ものが変化しにくい特徴があります。また、地下深部では地下水の動きが極めて遅いうえに、放射性物質は地下水に溶けづらく、岩盤に吸着されやすい性質もあるため、地下深部での放射性物質の移動は遅くなります。<関連リンク>