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「地層処分」とは、地下深くの岩盤が持っている「物質を閉じ込める力」を利用し、閉じ込めをより確実にするための人工バリアを施したうえで、地下深部の安定した岩盤に高レベル放射性廃棄物と地層処分相当低レベル放射性廃棄物(TRU廃棄物)※を埋設し、人間の生活環境に影響を及ぼさないように長期にわたって安全・確実に隔離し閉じ込める方法です。
地下深部には以下の特徴があるため、物質を長期にわたり安定して閉じ込めるのに適した場所といえます。
▼人間の生活環境からの隔離
地下深部は、地上に比べて、地震、津波、台風等の自然現象による影響がほとんどなく、戦争、テロ等の人間の行為による影響も受けにくいという特徴があります。▼物質が移動しにくい環境
地下にある物質は主に地下水によって運ばれますが、地下深部では地下水の動きが年間数ミリメートル程度と極めて遅いため、物質の移動が非常に遅いという特徴があります。また、多くの物質は岩盤に吸着されやすいという性質があるため、地下水によって運ばれる物質の動きは地下水の流れよりもさらに遅くなります。▼物質が変化しにくい環境
地下深部の地下水中の酸素が極めて少ないため、錆びなどの化学反応が抑えられ、金属を腐食させにくい、ものを溶かしにくいという特徴があります。一方、地上は地下に比べて自然災害や人の行為の影響を受けやすいため、高レベル放射性廃棄物を数万年以上という長期間にわたり地上で人間が管理し続けることは、社会的、経済的なリスクの観点から適当ではありません。
原子力発電を利用してきた現世代が処分の道筋をつけることで、将来世代が廃棄物を管理する負担をできるだけ小さくすることが、世代間倫理の観点からも適当と考えられます。
こうした考え方に立って、世界各国及び国際機関等で様々な処分方法が検討されてきました。その結果、地層処分が最適であるとの認識が国際的に共有されています。
※ 地層処分相当低レベル放射性廃棄物(TRU廃棄物):低レベル放射性廃棄物のうち、半減期の長い核種が一定以上含まれる廃棄物
(地層処分のイメージ図)<関連リンク>